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る「北極海汚染防止法」は世界でも稀なもので、カナダの領海内を航行する船舶に対して季節、水域毎に細かなグレードが設定されている。
海外への出張検査は原則として行わず、船級協会の試験検査成績を活用する。中国、ロシア、ポーランドの船級協会を除く5〜6の主要船級協会の検査を認めているとのことであったが、我が国におけるNKほどに検査項目を委任しているのはABSとLRのみかと推察される。SOLAS条約証書、搭載喫水線証書、汚染防止証書等の発給の権限を全面的に船級協会に付与している。カナダ商船隊のうち、船級を有するのは8%程度であり、船主が積極的に船級協会を活用するためには検査料金が問題になっているようである。
書簡での質問への回答では、必要な法令改正は’93年に終えているとのことであったが、検査制度に関しては今後も大幅な改正があると考えられる。船舶検査の船級協会等、民間機関活用の方途については米国コーストガードと定期協議を有しており、USCGの影響をかなり受けることとなろう。目下の注目される制度改革は、米国と同様ISMコードの実施である。
パナマは在籍船舶隻数は約13万隻、10億総トンに達するが、世界の伝統的海運・造船国ではない。しかし世界の主要船級協会等を活用して、国際的な取り決めは遵守するべく真面目に努力していると言われている。船舶検査、登録の担当部署は、財務省、領事・船舶局であるが、検査の実務は同国のニューヨーク事務所・海事安全部が取り仕切っている。
パナマが船舶の総トン数の測度及び安全検査に活用している機関は、ロシアの船級協会を除くlACSメンバーとギリシャの船級協会、そして同国の船級協会を含む3機関の計14機関である。ISMコードの船社及び船舶の管理プログラムの審査機関としては、ロシアおよびポーランドの船級協会を除くIACSメンバーとギリシャの船級協会の10協会を指定している。
船舶検査官として約300人擁しているが、フルタイムで雇用されているのは30人程で、他はパートタイムである。検査官はもとキャプテンや船級協会のサーベイヤー等で、所謂PSC的な検査を実施し、その人件費は年間100万米ドルに達する。
基本的な法律はあるが、SOLAS条約の改正等は、商船回章(Marchant Marine Circular)で船級協会等に流し、適用している。1996年9月には、’93年SOLAS決議書A.739「行政の業務を代行する業者の承認に関するガイドライン」に沿って改めて証明手続に関する規則を定め、通達しており、また同年同月、ISMコードの適用に関する通達を“Marchant Marine Circular No.95”として通知している。
UL(Underwriters Laboratories)は当協会の艤装品研究所に似た試験所で、本来電気器具、消火設備のを専門としたが、その規格の政府公認は拡大していると窺われる。
デトロイトディーゼルは、400〜2,400PSの舶用エンジンを日本に年間数十台輪出し、我が国と米国の検査制度について熟知している。
セントジョーン造船所はカナダ最大の造船所で、最近10年間は主に艦艇を建造していたが、今後は商船を建造しようとしており、パナマックスタンカー等の建造のために一個1,200トンのブロックを吊り上げ、連機する工場に改装中である。
パナマの唯一の膨張式いかだサービスステーションは、’96年に東洋ゴム工業と三菱電機の整備ライセンスを取得し、日本型いかだの整備に意欲を有している。

 

 

 

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